だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「わたし、ちょっとトイレに行って来るね」

谷田陸を振り切って、トイレに寄ると出来るだけ短くメールを打った。
パパとお兄ちゃんと清水に同時送信。
時間をかけて怪しまれるのが嫌だったの。

それから、昇降口で靴を履くと、周りの女子児童たちの目を引くほど柔らかい笑みを浮かべながら車の前で待っている東野の元へとわざとおどおどと歩いていく。

「ほら、八色。
普通に歩いてくれないと」

「え? わたし、普通ですよ」

自分でコントロールできないほど怯えている。
そう印象付けるように心がける。

少なくとも隣で精一杯強がって普通を演じようとしていることが見え見えの谷田より、弱いように見せないと。

促されるまま後部座席に乗り込んだ。
観察されていると思うと、視線を動かすことも憚られ、自分の膝にひたすら目を落とす。


そして、肌に触れているネックレスに想いを馳せた。
これ、清水に繋がってるんだよね?

……清水、助けて。

と、心の中で強く強く念じることしか出来なかった。
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