だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
説明もせずにわたしが、眠そうな顔で膨れているのを見て清水が困ったように苦笑する。

冬休みなので、わたしを学校に送ることも出来ないのだ。

「ホットココアでも飲みますか?」

ほら、清水はこうやってちゃんと私のことを子供扱いしてくれるっていうのに!

「ねぇ、清水。
今、忙しい?」

「いいえ。都さんとお話しする時間は十分にありますよ」

「じゃあ、ホットココアとー、清水はコーヒー?
持ってきて。
後、やっぱり年賀状はもう止める。
いつまでも子供じゃないから。メールで十分なんだもんっ」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」

清水は本当に良く出来た人で、わたしの発言をいぶかしむわけでも笑い飛ばすわけでもなく、丁寧にお辞儀をして部屋から出て行った。
彼と一緒に居ると、本当のお嬢様にでもなった気がしてとても気分がいい。

……それと同じだったのかな、わたし。
お兄ちゃんと一緒に寝ると、本当の恋人にでもなった気が、してたのかもしれない。

お兄ちゃんは、かっこいいし、もてるし。
こんなチビッコ、相手にするわけないわよね。

え?もちろん、心は完璧なレディよ。
でも、分かってる。わたしは昨日12歳になったけど、お兄ちゃんはもうとっくに今年の夏から16歳で。

原付だって(合法的に)運転できる。


あー、ツマンナイの。

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