陽だまり
「ん、いいよ。おれ持つから」

買い物袋を優喜の手から取ろうとしたら、そんな返事が返ってきた。
わたし私の手には、軽いパンの袋しかないので、大丈夫だといったのに断ってきた。

ドリアの食材や水物まではいっている袋を、ふたつも両手にかかえているのに優喜。
大丈夫なのかな。
かばんはショルダーなので、手を煩わすことはないだろうけれど、肩がいたそう。

「おれ、男だよ。女の子に重いもの持たせられない」

姉弟っで「女」「男」言うのって、どうも変な気がするけれど、そうやって気をつかってくれるのは嬉しい。

「ありがとう」

素直にわたしは、優喜の後をついていった。
駆け足でいき、優喜と並ぶ。そうすると、身長差を思い知る。

「また伸びた?」

優喜の頭のてっぺんを、わたしは見上げた。
多少ワックスで髪を立ているみたいだけど、それだけじゃない体の伸びが思い知らされる。
ほんの2年前までは、わたしと並んでいたのに、もう少しで頭ひとつ分くらい抜かされてしまう。

「成長期ですから。そのうち、おれの肘掛にしてやるよ」
ひ……肘掛? それって、つまりあたしより30センチはでかくなるということか。
「そんなにでかくならなくていい」
わたしはぷーっと膨れた。

なんだか悔しい。小さい頃は、わたしの腕の中に優喜はすっぽり収まってたはずなのに。頭をなでてあげて、なだめたことだってあるのに。
なのに、今は肘掛ですか。

「ヒナかわいいー」
優喜は嬉しそうに笑った。

なんなんだ、まったく。
女の子の方が早く成長期がくるとはいえ、一度抜かした身長を後から軽々抜かされてそのままというのは、なんだか勝ち逃げされた気分になる。
中学の頃、それが妙にくやしかったっけ。

「さてさて、父さん帰ってくる前に作っちゃおうぜ」

現在6時。お父さん、いつ頃になるだろう。

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