陽だまり
こしこしとドリアの器にバターを塗っていたら、電話がなった。
手がバターでベタベタしてわたしは、優喜に電話をとってもらおうとキッチンを見た。
が、そちらのほうが忙しそうだった。
しょうがないと思い、軽く手を洗ってばたばたと電話に走りよった。

「はい、水城です」
「あ、陽菜かー」

びっくりした、お父さんか。
電話にかしこまって取ったら、家族だったりすると妙に恥ずかしい。

「もう、夕飯作っちゃったか?」
「ううん。今作ってるところだけど、どうかしたの?」
「いや、今日母さんいないだろ。もしお前たちが作ってるんなら、いらないって言おうと思って電話したんだ」
「え、なんで? いらないの?」

せっかくお父さんの分も、これからバターを塗るところなのに。

「今日、ちょっと取引先との飲み会が急に入ってな。お父さんの担当だから、行かなきゃならないんだ。かなり遅くなると思うから、鍵をしっかりかけて先に寝なさい」
「あ、うん。わかった。頑張ってねー」

お父さんは、取引とか言って良く飲みに行く。
日常茶飯事なので、とくに気にはしないのだが、実はお父さんは飲めない人だ。それなのに、飲み会に参加って……大人ってわかんない。
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