僕の事情
彼の出会い
…いい所だなぁ…
宿舎からグランドに向かう緩い坂を上りながら、僕は周りを見回した。空は青く広く、木々は緑をたっぷり抱え愉快そうに揺れている。

4泊5日の合宿。
ここなら、まぁまぁ、だ。

天然芝のグランドではチームメイト達が集まり始め、思い思いにトレーニングをしている。
グランドの回りには見学の人達。ネット越しにお目当ての選手を探している。

それらを眺めながら坂を上りきり、
グランドに足を踏み入れようとした、その時、

入口脇に立っていた一組の親子に目は釘づけになった。

いや

その母親に。

僕はどれくらいその場に立っていたのだろう…

チームメイトに大声で名前を呼ばれ、ようやく我に帰った。

あの感情をなんといえばよいのか。

行く夏を惜しむかのように鳴く蜩の声…


何かが始まる予感で

僕の胸は高鳴っていた。
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