僕の事情
僕の出会い
僕の住む町に
高濱サンイエロー
がやって来た!!

僕の大好きなチーム!
憧れのサッカーチーム!

なんてったって
サンイエローには
サイッコーにかっこいい
向井慎吾
がいる。
同じピッチでプレーするのが、僕の夢…

宿題を超特急で終わらせ

お手伝いの約束もして

お母さんに車でグランドまで連れてきてもらった。

あぁ
ドキドキする。

いるかな?向井…
握手してもらおう。
サインも…してくれるかな?

ドキドキして仕方ないから、

ちょっとカッコ悪いけど

お母さんと手をつないで待っていた。

向井は僕の目標なんだ…あんな選手になりたい…

キラキラしてて
カッコよくて。

いつも僕はドキドキして見ていた。

だから、
姿が見えた時は
緊張で足がすくんだ。
遠くからでもすぐわかる。僕の大好きな…。

「お母さん…」
どうしていいのかわからなくて、思わず見上げたお母さんの顔。

お母さんはピンと顎を上げ前を見つめていた。
僕が呼んだのに全然気がつかない。
真っ直ぐな視線の先に、
向井慎吾…

僕の大好きな…。


かなかなが鳴いている。
僕たちの周りだけ
一段と
激しく 鳴いている。
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