透明図
結局、その日の夕飯には焼鳥がでた。でも私はそれに橋をつけることができず残してしまった。

食べ物を残すと、いつもなら母に怒られるのだけれど、この日ばかりは母も何も言わなかった。

母もあまり食欲がないのか、焼鳥に橋がつかなかったところをみると、もしかしたら母は私と同じものを見てしまったのかなと思った。

結局残した焼鳥は弟が平らげてしまったのだけれど、焼鳥を食べて幸せそうな弟を少しうらめしく思ったた。もちろん弟が、何をしたというわけではないのだけれど。

少し悪いと思ったので、逆恨みにあった弟に、心の中で少し謝っておいた。

弟が私の心うちをしることはないだろうが。
< 24 / 83 >

この作品をシェア

pagetop