透明図
死にゆく者たち
朝の目覚めは、久しぶりに快適だった。

私はご飯を口に運びながら昨日のことを思い起こす。

なんだかいろいろ話したような気もしたけど、まだまだ話さなければいけないこともたくさんあるように思えた。

でも、肝心なことは話せたから。

何が肝心なことなのかはよくわからなかいが、気になることがあればまた話せばいい。

今はそれで十分な気がした。

よくわからないけど、藤橋君は信用してもいい気がした。

私は彼のことを、まだよく知らないけれども。

少し話しただけだとゆうのに、私も単純だな。

でも、それでいいと思う。

だって、私が生きてゆく上で、人を疑うことがなんの糧になるだろう。

そんな時にもお母さんは、私をせかすように時間を知らせる。

「ええ!!やばいじゃん。遅刻するよ!」

私は思わず飛び上がる。

「お姉ちゃん、危ない!」
弟がテーブルを押さえながら私を睨む。

あ、ごめん。

「もう!そんなに慌てちゃテスト失敗するぞ!」

あぁ、そうだ。結局勉強してなかった!

私は二週間後に中間テストがあることを思い出してしまった。

「どうせまたサキちゃんに勉強教えてもらうんだろ」

弟が生意気な顔を向ける。

「サキちゃんてゆうな。」
私は弟の頭をパンっとはたきつつ、学校に向かった。
思いもよらず一日が慌ただしく始まるのを感じた。

後ろから弟がかんだかい大きな声でバカ!と叫ぶ声が聞こえた。

一日は、今日も変わらずに一日だった。
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