チョコと焼酎~   st.valentin



竜二が、私を見つめているのを感じる。


ドキドキする。


「お前さ、人の話、ちゃんと聞けよ」


「うっ、ははい」


ひぇ~!

緊張するんだけど。


「俺に、カノジョは、いない」


顔をあげて、竜二を見た。



「えっ?」


なんて?


「何度も言わせるなよ。

俺には、カノジョは、いないんだ」


「ホントに?

でも、あの、バイトの子は?」


「別に、ただのバイト仲間。


俺のこと、信じらんね?」


そんなことないよ。


「ゴメン。

信じない訳じゃないよ。

ただ、柴田が私に気ぃ遣ってんのかと思って。

でも、そうじゃない、ってわかったから。

DVD見る?

それとも、帰る?」


もう、竜二と見つめ合っているのも限界で、目を背けた私は、DVDをスタートさせた。


< 90 / 116 >

この作品をシェア

pagetop