【短集・ホラー】白紙の小説
「今あなたは魂の状態なのです。だから意識もハッキリしておられる……だが、あなたは先ほど言ったように、誤って落ちてしまい、死んだのです」
…………死んだ、だと…?
「その時、体の足に衝撃を受けて骨折し、頭を強く打って死にました……」
「待てよ!!何の冗談だ!?俺は生きてる!!だから今、骨折した足の痛みだって感じてる!!」
俺の悲痛な叫びにも
医者は動じない
「あなたの魂がハッキリしすぎているからです。体と離脱したにも関わらず……。
さぁ、早く手術をしないと。」
「何言ってんだ!!
万が一、俺があんたの冗談通り、体は死んでるとする。なのに何で手術する必要がある!?」
俺の問いに
医者は言い放った
「なるべく死体を綺麗な状態にしておかねばなりません。でなければ私はこの病院の医者として失格だからです。」
「だから何でだよ!?
綺麗にする必要なんかどこにも無いんだろ!?下らない嘘をつくな!!」
「綺麗にしなければ私は怒られますからね……」
「誰にだよ!?!!?」
次の瞬間
医者は思いもよらない
言葉を言った
「死体マニアにですよ」