【短集・ホラー】白紙の小説
「やめろ!!!!!!」
魂だけの俺が叫ぶ。
この俺の体が綺麗になったら、俺は死体マニアに売られてしまう。
「手術中は騒がないことです。例え、魂だとしても」
今、現実に居る俺の恋人達には、このメスも見えてないのか…?
……………あ……
「…………お前は?」
何故俺には
医者が見えている?
医者は動き出した手を止めて、魂の俺を見た。
「この病院は全て逆なんです。生かされるために入るのが病院ですが……ここはそうじゃない……もう死んだ人が入る病院です」
「答えになってねぇよ……」
俺が怒りに満ちた目で医者を見ると、再び医者は、あの残酷な哀れな目で俺を見た。
「言ったでしょう?
逆なんですよ。」
…………逆…………?
「私ももう
死んでいるんです」