愛しい遺書
「翔士にも渡しといて」

「やった!明日は飲み放題だね!マスターありがと!」

周りにバレないように小声で久世さんにお礼を言い、マナカと梗平は顔を見合わせて喜んでいた。

「マナカたちはどーなったの?」

あたしは2人の関係を突いてみた。

すると梗平が、

「キキちゃん、コイツどーやったら落ちんの?」

と、縋るようにあたしに言った。

「え?落とすも何も、いー感じじゃん」

「それはそーなんだけど、オレだけのモンにしたいんだよね!」

梗平は大きい声で言った。すると、カウンターに入って酒を作っていたたろーが「ヒュウ〜」と口笛を吹いた。

「たろー、ハウス!」

マナカは照れを隠すように、冗談でたろーを罵った。梗平はそんなマナカをいとおしそうに見ながら1杯目の酒を飲み干し、2杯目を頼むとトイレに立った。梗平がトイレに入るのを確認すると、

「あいつが切ったの?」

と前髪を差してマナカが言った。

あたしは頷いた。

「あいつ、腕はいいかもしれないけど、生き方マジ最悪!つい最近、女に連れられてうちの店に来てさあ!その子しょっちゅううちに買いに来るんだけど、ブレイズで現れたと思ったら、あいつ一緒にいたんだよね!」

「クミって子?」

「うん!そう!何で知ってんの!?」

「ここにも一緒に来た」

「マジで!?キキの気持ち知ってて、バカじゃねーの!?」

「明日のパーティーも、その子に誘われてOKしてた。多分、一緒に来るんじゃない?」

「じゃあ、翔士とバッティングすんじゃん!」

「例えそうなっても、どうにもなんないよ」

「だろーね。キキ、翔士は本気だよ?」

「……」

「ちゃんと考えてあげてね?」

あたしは何も言えず、頷くことしかできなかった。



マナカと梗平は2時頃までいた。

その間、あたしは客のオーダーをこなしながらも2人とずっとお喋りしていた。

「じゃあ、また明日ね!」

マナカと梗平は仲良く手を振りながら帰った。

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