愛しい遺書
明生は大きく背伸びし、あたしの方を向き、あたしと目が合うと、

「やっぱかわいいな」

と言って、あたしの前髪を触った。あたしは照れ笑いした。





朝食に目玉焼きを作ると、明生はいつものように半熟の黄身をぐちゃぐちゃにし、めんつゆを入れご飯に乗せて食べた。食べ終わり一服すると、

「じゃあ、またな」

と言って玄関に向かった。

「うん。気をつけてね」

あたしは玄関で見送り、手を振った。










――夜。

金・土は週末ということもあり、店のスタッフも増える。今日は久世さんとあたし、そして一つ年上のフミカさんと二つ年下の浦島くん(通称・たろー)の4人。

「久世さん、この前はありがとうございました」

あたしは釣り銭のチェックをしていた久世さんに話し掛けた。

「気にすんな。またいつでも聞いてやるから」

久世さんは優しく笑いながら言った。



オープンして間もなく客が順調に入ってきた。あたしは酒のオーダーをとり、カウンターに背を向けて酒を準備してると、また店のドアが開いた。

「いらっしゃいませ」

言いながら振り返ると、マナカが立っていた。梗平と一緒だった。

「キキ、前髪切ったの!?可愛いんだけど!!」

マナカはアゲアゲで入って来て、カウンターに座った。

「ありがと」

あたしは少し照れながら言った。

「ホントは翔士も誘ったんだけど、今日は用事があるって」

「そうなんだ」

あたしは2人がオーダーした酒をカウンターに上げながら言った。

「あ、でも女じゃねえよ」

梗平が気遣うように言った。

「翔士、仕事中もキキに早く会いたいってばっかり言ってるんだってよ〜」

マナカはからかうように言った。

「明日のパーティーは3人で来るから!」

「来てくれるの?」

「当たり前じゃん!パーティーだよ!?来ないわけないじゃん!」

「ありがと。じゃあ、VIPで入れるから」

あたしは久世さんにOKをもらい、予め用意されてあるスタッフ用パスを3枚マナカに渡した。

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