お嬢様と執事さん
それから三階の部屋はどこも鍵がかかっていて入れなかった。次に一階に移動しようとエレベーターに乗り込むと、私たちのほかに、見たことのない執事服を着た人がひとり乗っていた。
「お、海斗やん♪守備はどうや?」
「完璧でごさいます。あとは私にお任せを」
エレベーターに乗っていた人はどうやら薫の執事さんだったみたい。
「遥、これがさっき言ってた執事や。名前はもう知っとるやろ?」
「うん。天音遥です。こちらは執事の連さんです。よろしくお願いします」
ぺこりと海斗さんにお辞儀すると、海斗さんはなぜかびっくりした顔をしていた。
「あの……?」
「あ、いえ。失礼しました。こちらこそよろしくお願いします。」
海斗さんもみぞおちに拳をあて、恭しくお辞儀してくれた。