Cage
少しして、日差しがなくなり外が暗くなってきた。
起き上がり、ルームライトのスイッチを入れて机の上に置いた携帯で時間を確認した。

デジタルは十七時を表示している。

同時にミウからの連絡がないことが解った。

慣れた手つきでミウ宛にメールを書いた。

『借りた本は返せたかい? いまどこにいるの?』

携帯を机に戻してフルーツジュースを口にする。
窓から見渡す風景は住宅に灯りはなく、道路を照らす街灯だけが浮かびあがっている。
祭典後の寂しさにも似た印象がある。
無論、栄えた日本を知らないユウマには解らぬことで、しんと静まりかえっていることが日常的だった。

ひとつ溜め息をついて、再びベッドに転がると、天井を見つめた。

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