恋スル運命
それを遮るように声を出す。




「車酔いしてしまったみたいで……。
もう少し新鮮な空気を吸ってちゃいけませんか?」




『しかし、風邪を引かれては私がジョージ様に……』



私の心配してくれて声をかけたんじゃない。
風邪を引いて、自分の責任になったら困るって意味だったんだ。




『サラ様、これをおかけください。そうすれば寒さも和らぎます』




隣に座っていたユーリが、車に乗る前に脱いだコートを肩に羽織らせてくれた。



「ありがとう、ユーリ」




袖に手を通して、前に座る人を見る。




コートを着るのなら構わない、と少し不満げだけど、了承してくれた事にお礼を言い、窓の外へと視線を移した。




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