恋スル運命
『・・・やっとちゃんと笑ったな』




「な、何のこと?」




目を細めて、先ほどの少年ぽい笑顔とはまるで別の、大人の男性らしい笑みを浮かべて見つめられ言葉に詰まる。





『屋敷にいた時と、表情がまるで違う。そうやって笑ってるのが本来のお前なんだろう?屋敷では無理して笑ってたように見えた慣れない土地に嫁に来て、緊張してるのか?』





「そう・・・かも知れないわ。笑顔でいれる余裕がないのね、きっと」




いつの間にかユーリも側に来ていて、そっと私の肩にショールをかけてくれる。



ふわりと羽のように軽いのに、そのショールはとても暖かくて体が冷えてきてたことを実感した。





「私もユーリもね、田舎出身なのよ。一応父私の住む村の地主だったけれど、ジョージさんに・・・ヴェルレール家に比べたら、私の家なんて全然で。
ボロがでないように気をつけてるの。だからこんな所で寝転んでたっていうのは秘密にしておいてね?」




ユーリとカイの両方を見て口止めをする。




ユーリは、もちろんですと笑顔で言ってくれたけど、なぜだかカイは難しい顔をして私を見てきた。










< 148 / 161 >

この作品をシェア

pagetop