ハッピー☆ハネムーン

2人を見送ったあたし達は、1度部屋に戻った。


今日の夜はディナーを予約してあった。
豪華客船でのクルージング付だ。



「はぁ…疲れたぁ」



部屋に戻ると、急にどっと疲労感に襲われた。
あたしは、大きなキングサイズのベッドにダイブすると、仰向けになって両手を広げた。


ベッドからは、オレンジに染まろうとしている空が見えた。




慶介は「シャワー浴びてくる」と言って、バスルームへ消えて行った。




時計に目をやると、集合時間の6時にまだ少しだけ時間がある。


目を閉じると、一気にあたしの意識は薄れていった。







――――――……
―――――…





「…ん」



あ…あれ?


あたし……寝ちゃってたんだ。



眠い目をこすりながら、重たい体を起こすとベランダの椅子で煙草を吸う慶介が目に入った。




「…慶介?」



声をかけると、慶介はゆっくりとこちらに顔を向けた。



…あれ?


なんだか、その姿に違和感を感じる。
こちらを見たまま何も言わない慶介。




――――何?




焦点が合っていないような虚ろな瞳。





ドクン…ドクン……




時間が止ってしまったような感覚。


まるで作り物のような綺麗な慶介。
夕陽に染まったオレンジ色の慶介の唇が、微かに動いた気がした。




「え? なに?」



『      』




あたしはそれを聞き取ろうと必死に彼に近づく。

なに!? 何て言ってるの!?
わかんない!! 聞こえないよ!!!






「慶介…!!!」


―――――……
――――…



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