俺が欝?
葛藤に打ち勝ちなんとか入室。

イメージすると病院と会議室の中間のような待合室で待つこと約10分。

「どうぞー」の声と共にドアが開き、ガン黒の男性が手招きする。

緊張しながらも部屋に入ると、大きめのソファーへの着席を促された。

「ウツトライさんですよね。お話は大体聞いてます。リラックスしてくださいね」ととても紳士的に話し掛けてきた。

眼光はするどいが、笑顔のスポーツマンといった感じ。

「では、状況を話してください」の声を受け、発病した時の事から、現在に至るまで経過と、自分なりの分析、抱えている悩み、今後への不安等をゆっくり話した。

なんとも言えないような穏やかな雰囲気に包まれて、緊張が溶け、思いのほか言葉多く話していた。

「なるほどよく分かりました。ラグビーの様なスポーツをやっている人の典型ですね。責任感が強く、弱音を吐くことをよしとしないで、自分を追い込んで、無理をするところなんかはね」

「しかも、経歴は世間的には羨望の眼差しを向けられるような成功者で、それを自分の力だけで切り開いてきた自負がある」

「まさに欝病になる要素を完璧に備えてますね」
それを聞いて言葉がでなかった。
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