身代わり姫
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レオノーラが目を閉じていると思ったお婆さんは、実は何もかも見ていました。


お婆さんの名前はパメラ。
名前を聞いたら、レオノーラも知っているかもしれませんが、この国で一番の魔術使いです。

パメラは新しい薬草を探す旅をしていて、たまたまこの地方の領主のお屋敷に立ち寄っていたのでした。


田舎くさい愚鈍な領主の人柄に嫌気がさし、早々にこの地を後にしようと荷仕度をしていた矢先、妖精の涙を持ってきた女がいる、と領主が言ったのでした。

知性も魔力もない領主は、妖精の涙という幻の宝石を一体どうしたものかと悩み、たまたま滞在していた国一番の魔術使い様に相談したのです。


パメラは若い頃に一度だけ、妖精の涙を見たことがありました。

月の光を巻き取ったような真珠のような宝石。


パメラにそれを見せてくれたお師匠様の、大切な宝物でした。

そんな貴重なものが、こんな辺鄙な町にあるはずがない。


パメラは、その女がどんな偽物を持ってきたのかと詰るために面会しました。


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