身代わり姫
「え!?」


王女が慌ててナイフを引き抜くと、小麦を挽いた粉が流れ出ました。


「リュイ、よくやった。でも攻撃してはいけないよ」


グラディス王女の背中から、パメラの声がしました。


ナイフを持ち替えて振り返ると、小さな精霊に支えられてぐったりとしたレオノーラと、ゆっくりと室内に入ってくるパメラの姿がありました。


「おやおや、こりゃ派手に暴れたものですな。グラディス王女、王宮は大騒ぎになっておりますぞ」


パメラは飛び散ったカードや、ひっくり返った椅子を見て、やんわりと言いました。


「パメラ! 何でこいつを攻撃したらダメなんだよ。レオノーラを殺そうとしたんだぜ!?」


額にコブをこしらえたリュイが、悔しそうに言ってグラディス王女を睨みつけました。


「阿呆。この方はこの国の王女じゃ。攻撃なぞしたら主のレオノーラ共々処刑だわい」


リュイはぷうっとふくれて、気を失ってしまったレオノーラをそっと長椅子に横たえました。


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