ネットワークライダー『ザイン』

 紹介者はドンブリをマテリアル・トランスファー・デバイスの前に置き、必要事項を打ち込んだ。その陶器はデバイスからの光に照らされて、自らもぼんやり発光している。


  ピィィィィッ


 画面に「読み込み終了」の文字が現れると紹介者は大袈裟に汗を拭った。


「ふう。さあこれで準備が出来ました。はい『送信』っと。これで15秒後に何かが起こります」


  シュィィィン……フッ


「きっ消えました!」


  シュィィィン……フッ


「ああっ! あああっ! こちらから現れました!」「わあっ、凄い」「どうなってるの?」  パチパチパチパチパチパチパチパチ


 本来はサクラである筈の観覧者達も本心から驚いて、場内は騒然としている。


「正にSF映画を観ているようでした」


 盛り上げ役の三流タレントが感嘆の溜め息を漏らすと、紹介者は得意げに胸を張って言い放つ。


「そう。我々はついにネットワークを介した『転送装置』を得たのです。今回、4Wでホームページを開いてらっしゃる企業様向けに、なんとこの世界50ヶ国に特許申請中の逸品を、1台180万円の大特価でご提供致します」


「おおお」


「更に! 2台セットでのご購入はなんと、ジャスト300万円です」


「わあああ」


「ネットワークの繋がる所であれば、1kg以下で50cm以下の無機物なら何でも送れます。秘密書類もその例にもれません。しかし残念ながら、生物や鮮度の関係する物は送れませんのでご了承下さい」


「いや、でもこれは輸送革命ですよ。環境にもいい」


 三流タレントがそう言うと、会場は割れんばかりの拍手で包まれた。



───────廃教会の一室



「ふん。1台数千万はするマテリアル·トランスファー·デバイスを180万で買えるんだ。こちらの都合がいいように使わせて貰わなければな」


 暗い部屋の中でテレビの明かりに照らされたイゾルデ副総帥がほくそ笑む。


「これでマルケ総帥にも堂々と顔向けさせて頂けるというものだ。ふふ、ふはははっ……ははっ、はは」


 不敵な笑い声を上げていた彼女はしかし、突然頬を染めて黙り込んだ。


「でも……これで代田には大きな借りが出来てしまった」


 イゾルデは暗い自室の姿見の前でシナを作ってみせる。その艶の有る肌に食い込んだ海老茶色の甲冑が、ぬらぬらと妖しげに光っていた。


「いや違う。私は仕方なく抱かれるのだ、望んでなど断じてない!」



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