ネットワークライダー『ザイン』
ハーメルンの笛吹きは少し薹トウが立ってはいるものの、ブリブリのロリータファッションに身を包んでいる。両指先でスカートを摘まむと、膝を折ってクローネンバーグに微笑み掛けた。
「僕はオオムラサキの微熱です。剣術と潜入捜査を得意としています。これでも三十路です」
少しふっくらして美しい顔はまるで少年のようだが、研ぎ澄まされた筋肉は服の上からでもその存在を主張している。
クローネンバーグ捜査官は少し戸惑いながらもそれぞれに微笑み返した。
「個性溢れる面々ですね。しかし私には彼らを御ギョし兼ねるのでは?」
彼は勧められた椅子に座りながら、秘密捜査官達を代わる代わる見比べている。
「今日召集したのは秘密捜査官の中でもほんの表層に位置するメンバーです。顔を出しても差し支えない3名をクローネンバーグ捜査官の助手兼ボディーガードとして配備します」
笠井警部補はリストをクローネンバーグに寄越して続けた。
「そこにコードネームと得意分野が明記されています。彼らはこちらの管轄下で動いていますが、クローネンバーグ捜査官がご要りようの際は直ちに手配致しますので、お気軽にお申し付け下さい」
クローネンバーグはリストを見ながら感嘆の声を上げていた。
「これは凄い。こういった特殊技能を採用するのは我が国が先駆者だと思っていましたが……」
「ここ数年の間に常識では考えられない事件や事故が多発して、日本の警察もやっと重い腰を上げたという次第です」
「それは心強い。では事のあらましを説明致しましょう」
クローネンバーグはそう言って立ち上がると、古びた肩掛けカバンから取り出した捜査資料をホワイトボードに貼り付け始めた。
───────テレビCM
「あの4Wが画期的な輸送手段を開発しました」
「これがそのマテリアル·トランスファー·デバイスですね。しかし何が運べるんですか?」
「驚きですよ? まあこちらをご覧下さい」
紹介者はデジカメやボールペン、レポート用紙やドンブリなど、種々雑多な小物を用意する。
「この様々な物達を一瞬でこちらに移します。いいですか? これは手品ではありません」
パソコンを起動した紹介者はマテリアル·トランスファー·デバイスの電源を入れた。
「やり方は簡単です。4Wのホームページに有るアプリケーションをダウンロードして、行き先を入力。後は画面の操作ボタンをクリックするだけです」