からんころん

「…なに?」

「おれ、あんたのこと知ってるよ」

「え?」



すると男は急に大声をあげた。



「こいつ、噂の黒い男だよ!昔クスリ持ってて逮捕された!千夏の兄貴だったのかよ!」



集団がざわざわ笑い出した。



「………っう」

「うるさいっ!!千夏ちゃんはここにいるのね!どこ!?千夏ちゃんっ!千夏ちゃんっ!?」



晴紀が言う前に、実果子が大声をあげ、晴紀は圧倒された。



「実果子、おめぇもうるせえよ」



今度は奥から女がひょっこり現れ、実果子の前まで来た。




「久しぶりだねぇ実果子」

「…千夏ちゃんを返して」

「ふっ…ははははは。どうしたんだよ?そんな恐い顔して。まるで昔のおめぇだな」

「……………」

「…実果子ちゃん、知り合い…?」

「どーも。翼隊番長のかーおーりっ。知り合いも何も、実果子は昔うちらの仲間だったんだよ、なぁー実果子」

「そうなの!?」

「そっ!しかも番長だったんだせ!」



晴紀には想像もつかないことだった。



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