からんころん
突然、千夏の表情がこわばり、黙り込んだ。
「…千夏ちゃん?」
「うそ…、本当は笑い者にしてたんじゃないの?」
「何言って…」
「あの日、私を哀れんだんでしょ!?だから…」
「千夏、おまえ急にどうしたんだ!?」
晴紀には何がなんだか、訳が分からなかった。
「…実果子ちゃん、疑いが晴れて本当によかったね!」
千夏は、まだ消えてない線香花火を放り投げ、その場から走り去った。
「千夏ちゃん…!」
実果子は追おうとしたけれど、
「俺が行くよ。実果子ちゃん、花火の始末お願い」
そう言って晴紀が追った。
千夏は荷物を揃えていた。
「何してんだ?」
「私帰る」
「どうやって、ここから家までかなりあるぞ」
「タクシー呼ぶ。お金なら…たくさんあるもん」
「なんで急に帰るなんて言うんだ?さっきまであんなに楽しんでたじゃないか」
「…お兄ちゃんだって私がいない方がいいでしょ!邪魔者は…」
「あのなぁ…」
荷物を揃え終えた千夏はタクシーを呼ぼうとしている。
晴紀は千夏からケータイを取りあげた。