からんころん
「返して…!」
すぐに取り返した。
「…なんで実果子ちゃんにあんなこと言ったんだ?実果子ちゃんショック受けてたじゃないか」
「…………」
千夏は何も答えず別荘を出た。
「おいっ!」
でも晴紀は、それ以上は追わなかった。
実果子は花火の片付けもせず、暗闇にひとり佇んでいた。
さっきまであんなに楽しかったのに…
どこで…、どうして…なんでこんなことに…
「実果子ちゃん」
晴紀が浜に戻ってきた。
「あ…千夏ちゃんは!?」
「…帰った。本当にわがままなんだから…。ごめんね」
「あ…どうしよう…。きっと…私が悪いんです…っ…」
「…一体何があったの?」
実果子は声を震わせながら晴紀に全部話した。
「そうだったのか…」
「ごめんなさい…」
「なんで、実果子ちゃんは悪くないよ!」
「ううん、私がしたことで、結果的に千夏ちゃんを傷つけてしまった…っ…」