冬の終わり


そいつは何も言わずに机を
軽々持ち上げた。
弱そうなその体のどこに
力があるんだろう。

「相良さん行こっかあ♪」

人に助けて貰ったことなんか
ない私は素直に嬉しかった。
そしてクラスに上がると
クスクス笑っていた子達が
驚いた顔をして私を見た。

「もうこういうのやめな。」

そいつはさっきまでの笑顔とは
真逆の怖い顔をして
クスクス笑っていた子達を
キッと睨んだ。


< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop