君とはじめて。〜契約恋愛〜
「奈緒、ごきげんよう」

リムジンを降りて靴箱まで向かう道に最初に会ったのは有紗だった。

「おはよう有紗…ってごきげんようってやめてよ」

「あはは!だってさっき先生に使うようにって注意されてね。使うはずなんてないけど、あんな堅苦しい言葉。」


有紗はあたしにとって一番の親友。
親同士も仲が良く、幼稚園でエスカレーター式で小、中、高と上がるときからずっと一緒だった。いわゆる幼なじみであり、良き理解者。


「あ、昨日どうだった?戸高グループのメンズ達!戸高ってイケメンぞろいで有名だよね。有紗も行きたかったけど昨日パーティだったからさ~」

『戸高グループ』
有紗の口から出たその言葉で顔にしわが寄るくらい嫌な顔になる。


「…全然だよ。行かなければよかったって思ったぐらい。ますます男が嫌いになったよ」


昨日のことが全てフラッシュバックのように思い出される。

…忘れたいのに…。


「え~?!少しは奈緒の男嫌い直ると思ったのに~」

「無理みたい。苦手が嫌いに変わっちゃった。」

「え~っ?あ、今日奈緒のパパ帰ってきたんだって?」

< 14 / 42 >

この作品をシェア

pagetop