君とはじめて。〜契約恋愛〜
でも、どんなに寂しくても父と母のことは大好きだった。文句や反抗もしたことはなかった。寂しくても、つねに我慢をした。
一年に一回、家族が揃う日がどんなに待ち遠しいか…。
『なんでも手に入るお嬢様』
世間一般からはきっとこう見られているだろう。
あたしはなんでも手に入らない。
…なにも分かってない他人の言い草。
それを椎は軽々しく口にしたのが奈緒は許せなかった。
「あっ、でももうすぐ会えるね。朝倉グループ主催のパーティで!」
「うん。久しぶりだから緊張しちゃうな」
年に一回必ず行う大規模でもある朝倉主催のパーティは大手企業から中小企業、有名政治家などを招待して行う朝倉グループの盛大イベントでもある。
そのイベントが2週間後に訪れてくるのだ。
「有紗にも毎年招待ありがとうね!パパとママと行くね」
「うん。よろしくね」
どれほど、このパーティが待ち遠しかったことか。
久しぶりに家族が揃う、それだけなのに、奈緒にとってはとても嬉しいことだった。