君とはじめて。〜契約恋愛〜



――久しぶりに家族が揃う。


それだけなのに奈緒は嬉しくて、待ち遠しかった。


***************


身なりも整えて会場へ向かう。
盛った髪に赤い真っ赤なドレス。キレイに施された化粧。
誰が見ても美人、そう言うだろう。元々顔立ちも良くスタイルも良い自分を奈緒自身は気づいていなかった。
むしろ、モテないわけではないのに、自分から壁を作り異性との関わりを全否定してるのだ。


「お待ちしておりました。奈緒お嬢様。お久しぶりです」


「お久しぶりです。中山さん」

中山さん…彼は父の執事。代々朝倉家に努めている中山家。
現執事の中山宗次は2代目である。


「ご主人様と奥様が中でお待ちです。会いたがってましたよ」


―会いたがってましたよ…

微笑んで言う中山の言葉に奈緒は口がゆるんだ。


嬉しくて呼吸が速くなる。
久しぶりの3人。今日はたくさん話したい…


少し小走りで父と母のところへ向かった。





< 19 / 42 >

この作品をシェア

pagetop