君とはじめて。〜契約恋愛〜

奈緒はこの世で一番男が苦手。

別に嫌いな訳じゃない。ただ苦手なだけ。

小、中、高とずっと女子校育ちで男に免疫のない奈緒は男との接し方さえもわからないまま今まで過ごしたきた。

異性と話すだけで緊張して胸がちぎれる思いがたびたびあった。
そのせいか、男、と関わることで自分に自信がなくなることに気づいた奈緒はいつの間にか、男という存在を自分の中から消し、存在を否定するようにした。

その結果が男嫌い。…本人曰く苦手なだけ、だそうで。

そして月日が立てば立つほど敵視するように、異性との交流に関わらないようにしてきたのだ。



高校3年の春。今が遊びどきなのだろう。
周りの友達から遊ぶ話が出れば合コンの話。

数十回断り続けてたわけだが、今日はそうはいかなかった。
いくら奈緒でも友達付き合い、というものがる。



―…「人数あわせでいいから」なんて、虫が良すぎる。
素直に断って、家にまっすぐ帰ればよかった。


奈緒は心の底からそう思っていた。




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