君色 **空色**
そう言いながら、それを眺めつつ頬杖をつく


「陽菜ちゃん、行ってこーい!」


突然彼女はそう言うと、私に手袋を押しつけた


「はぁ!?私が行くの??」

「まだ、そんな遠く行ってないでしょ。届けに行ってあげ~」


遠くに行ってないったって……彼が出て行ったのは何分前だろうか?

そう思いつつも、私は押しつけれた手袋を一瞥すると「荷物任せたから」と言って席を立った

教室の重い扉を開けて、出口へと走っていく

入口まで来て、分かりやすい青色を発見する


「岩崎くん!!!」


そう思いっきり叫んでいるのに……まったく無反応!?

隣の磯田くんと話しているせいか、全くこっちを振り返りやがらない

空を見上げると、まだ雨が降っていた


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