君色 **空色**
「傘持ってきたらよかった……」


コートも傘も教室に置いてきた事を後悔しながら、私は『えぇい、もうどうにでもなれ!』と外へ飛び出す

髪や服が濡れるのを忘れながら、遠ざかっていく彼の服を引っぱる


「い、岩崎くん、気付いてよ…」


思っていたより歩く速度が速かった2人に追い付くのに走った私は、情けないかな少し息切れ状態

『カッコ悪いな、私』と思いながら「手袋…。手袋忘れてる」と言って彼に手袋を差し出した


「あ、わりぃ…。忘れてた…」

「まったく、一生懸命呼んでるのに、気付いてよ!」


一応文句を言いながら、私はこのまま濡れて風邪をひくと困るので、「んじゃね♪」と言ってさっさと来た道を走って帰って行った

振り返ると、彼は磯田くんと歩いて、雨の中に消えていった


「変ね、話せて嬉しいなんて……」


そう呟いて、私は2人の待つ教室へと走って帰った


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