君色 **空色**
「楠木、今のうちに2階に行っとけ」

「えっ!?」


安堵した次の瞬間に私にかけられた、彼からの一言

意味が分からず混乱していると、彼は言葉を付け加えた


「2階の1番奥の部屋が俺の部屋だから。このままだと、叔母さんいつ解放してくれるか分からねぇ…」


戸惑いながらも『そう言う事か』と納得すると、私は恐る恐る2階へと続く階段へと向かった

階段を上っていると、階下から彼の「兄貴!?」と驚く声がこだましてきた


『お兄さんが帰ってきたのかな??』


そういえば年上のお兄さんがいると、彼が言っていた事を思い出しながら、私は階段を上りきる


『2階の1番奥の部屋』


「あそこだよね?」


そう1人呟くと、私は彼の部屋の扉を開けた


< 179 / 292 >

この作品をシェア

pagetop