君色 **空色**
「翔太って呼んだら、呼んでやるよ」

「!!」


その言葉に声にならない驚きを感じていると、彼の力が少し緩んだ

顔を動かせるようになったので、彼の方を見上げてみると、彼はまっすぐ私を見てニッと笑っている

その顔にドキッとして彼から視線を外すと、私は「しょ、翔太……くん」といっぱいいっぱいで呼んでみた


「ん~聞こえないなぁ~?」

「っ~!!」


あぁ、逆にはめられた……

心の中でその事に気がついて、声にならない講義をしていると、彼はもう一言私に付け足してくる


「ってか、心の中じゃ名前で呼んでるくせに」

「え!?」


驚く私に「正月夜這いされた日、寝言で俺の名前呼んでたもん」と彼は言う


< 288 / 292 >

この作品をシェア

pagetop