マチルダ
マチルダは
ミシェルの姉妹として
親友として
それからなにより飽きない人形として、この部屋に置かれている。
マチルダが着るものは、すべてミシェルのお古。
この部屋にあるぬいぐるみやフランス人形も、すべてミシェルが持っていたものだった。
「レッスンが終わるまで私の人形で遊んでいてもいいのよ」
「本当?でもミシェルが来てからにする。二人の方が楽しいでしょう」
そう言ってマチルダは、にっこりと微笑む。
そんな二人のやりとりをクマやウサギのぬいぐるみ達は、微動もせずに見つめていた。
汚れを知らない少女、マチルダ。
マチルダは、心からミシェルが大好きだった。
自分を
必要としてくれるのだから─。