紺碧の地図
「きっと嬉しすぎて、声が出ないのだな、うん」
何を勘違いしたのか、アルザは嬉しそうにそう言うと、何度も頷く。
「まぁ、当たり前だな。このわたし…アルフィザ国王女の護衛に就けるのだからな!」
誇らしげに胸を張ったアルザに、ロイは何とも言えない呻き声を上げた。
私は思わず、耳を疑う。
―――アルフィザ国、王女?
「…あんたが?」
ゼンも同じことを思ったのか、食い入るようにアルザを見つめ、訊ねた。
「そうだ。わたしは正真正銘、アルフィザ国王女、アルザだ」
アルザが、ゼンを真っ直ぐに見つめ返しながら、答えた。
そのあとすぐに、「ちなみに、国の名をとって名付けられたのだ」とアルザが付け加えた。
「…は―――…」
私の隣で、ニーナが額に手をあて、ため息をついた。
「何でこう、いつも厄介ごとが飛び込んでくるかな…」
その言葉に、私は苦笑するしかなかった。