紺碧の地図
私は、ゼンたちの方へと視線を戻す。
…でも、どうして一国のお姫様が、こんなところに?
「…悪いけど、貴女の護衛はできない」
ゼンが言った言葉に、アルザが思いきり顔をしかめた。
「何故だ?」
「…俺たちは、アルフィザに用があることは確かだ。けど生憎…海賊なんでね」
瞬間、ぴしっと固まったアルザの前に、ロイが庇うようにして立ちはだかった。
「貴様!アルザ様に危害を加えようものならっ…」
「待て、ロイ!」
敵対心をむき出しにしたロイの腕を、アルザが引っ張った。
「ゼンは、"ラー"ではない。わたしはそう感じる」
戸惑いの表情を浮かべるロイから、アルザは視線をゼンへと移す。
「この者の無礼を許して欲しい。だが、貴様も海賊のどっちなのか、名乗った方がいいぞ」
「…どうして俺が、"ルナ"だと?」
眉をひそめたゼンの問いに、アルザは笑った。
「人を助ける"ラー"はいない。それだけだ」