紺碧の地図

得意気に胸を張るアルザに、何か言い返そうと口を開いたゼンだけど、


「………」


ふと何かを思い直すかのように、すぐに口を閉じた。


―――そして。


「…わかった。案内を頼むよ」


ぽつりと呟いたゼンの言葉に、アルザは満面の笑みを浮かべ、そのままゼンに抱きついた。


「よし!任せろっ!!」


「アルザ様!? そんなむやみに抱きついていけませんっ!!」


「………苦しい」


何だか勝手に話がまとまってしまい、私たちはみんな、呆然とその光景を見ていた。


「…いーなぁ。ゼンってばモテモテ」


レキがぼそっと呟いた言葉に、ニーナが肩をすくめた。


「変わってやんなさいよ。見て、ゼンのあの顔」


ニーナは苦笑しながら、鬱陶しそうに顔をしかめているゼンを指差した。


私はそんなゼンをじっと見つめる。


どうしてゼンは、アルザの…一国の姫の提案を、受け入れたんだろう?



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