紺碧の地図
ララは口を尖らせてそう言うと、俺にバケツを押し付けた。
「ここでずーっと立ってても、何も変わらないよ!!」
―――変わらない。
確かに、そうだ。
「だってさ?ゼン。どーする?」
ニヤニヤと含み笑いをしながら、レキが俺の肩に手を置いた。
はぁ、とため息をついてから、俺は答えた。
「…やるしかないだろ」
俺のこの一言に、周りは一斉に動き出した。
それぞれが散り散りになり、街の人々に声をかけ、バケツを調達していく。
…やると決めたら、すぐに動く。
それがこいつらの長所なんだ。
俺は、笑みを浮かべているララを振り返ると、口を開いた。
「…やるか」
ララはさらに大きな笑顔を浮かべ、
「…うん!」
元気よく、そう答えた。
…その笑顔に、胸の奥が痛んだ。