しょうがい
それからしばらくの間、僕らはつまらない話で盛り上がっていた。つまらない話といっても、世間の年金問題や裏金問題のことではなく、ごく一般的な高校生がする話だ。

そして話のネタも尽きはじめてきた頃、気付いたら窓の外は真っ暗で、この学校は絶好の心霊スポットとなっていた。

しかし、それに伴いこの部屋も真っ暗で、とても廊下をうろつける状態ではなかった。

「そろそろ行こうか」

彼はカバンの中から懐中電灯を取り出して言った。

「やけに準備がいいね」

「そうだろう」

彼は懐中電灯片手に自慢げに微笑んだ。するともう一つ同じ物を取り出し、僕に手渡してくれた。

「え、僕の分まであるのかい」

「もちろんそうさ。優秀な探検家は準備を怠らない」

僕らはまるでインディ・ジョーンズにでもなったかの如く、悠々たる態度で探検に出かけた。

これは当然のことだが、幽霊を捜すことはそう簡単ではない。いや、むしろ難しい。よって僕らはその日の探検だけでは、何の成果をあげることも出来なかった。

諦めの悪い翔はその結果に満足がいかないらしく、その後も幽霊捜しを続けようとした。仕方なく僕も彼に協力し、毎日のように廃墟へ足を運ぶことになった。
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