しょうがい
学校での僕らは、周りの目から見てもいわゆる親友に見えるらしく、二人一組で行動することが多かった。そのおかげで放課後の打ち合わせは完璧。毎日のように廃墟に行っては、何の成果もなく家に帰宅することになった。

そして、そんな夜遊びも日常的となってきたある日のこと、僕の家族にある衝撃的な事件が起きた。それは僕と家族の間に生じる1メートル9センチの隔たりを、劇的なほどに一変させた。

僕は翔と一緒に廃墟へ行った後、夜遅くに家に帰宅した。家には鍵がかかっていたが、別に僕に対する嫌がらせではない。いつものことだ。

一番最初に述べたように、たとえ僕が夜遅く帰ることがあっても、親は軽く注意するのみだった。僕にとってはそれが悲しく、本当に愛されているのか心配だった。

「……」

一般的な家庭では、今のかぎかっこの中に「ただいま」という言葉が入る。ただ、今の世の中ではそれが普通なのかもしれないが。

「……」

それを迎えるべき「おかえり」という言葉も、室内からは聞こえてこなかった。母は専業主婦。父は夕方過ぎには毎日帰宅する。よって、家に誰もいないなんてことはないはず。

家族から何の挨拶もないのは僕が挨拶しないからであり、それもいつものことのため、僕はそのまま階段を上り、二階の自分の部屋へ入っていった。

部屋でのんびりしていると、さすがに腹が減ってきた。当然だ。まだ何も食べていないのだから。
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