しょうがい
その後、僕らは亡き養母のもとへと連れられていった。足取り重く、道のりはやけに長く感じられた。だがそれも僕を除いた人々にとってはのことである。

その場には養母がまるで眠っているかのように横たわっていた。彼女のその姿勢や表情からは、とても命亡き者だとは思えなかった。しかしよく見てみるとその顔色は悪く、血の気は全く感じられなかった。

養父はすぐに養母の側によりその手を握った。今度はうっすら涙を浮かべるのではなく、誰の目から見ても分かるくらいに涙を流しながら泣いていた。声こそ出していなかったものの、そこからは果てなき哀しみが溢れ出していた。

僕は遠くからその様を眺めていた。その場に居合わせた医師や看護師達は、そんな僕の態度をあまり良い感じには受けていなかったようであった。しかし、僕にはそんな他人の目など関係なかった。

しばらくすると、僕を軽蔑するように見ていた医師や看護師達はその場を去った。そしてじきに北沢親子も去り、そこには僕と養父、亡き養母のみが残された。

皆がいなくなったせいなのか、僕は思わず足を踏み出し、仰向けに寝ている養母の側へ近寄った。それを見た養父は何も言わず、ただ隣りに立っていた。
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