魔王に忠義を
当然。

この世界の中心国家、その国家の治安維持の為に存在するライスト軍の軍人達が俺を取り囲む。

その手にはサーベル。

対する俺は無手。

地面にはチェーンソーブレードを突き立ててはいるものの、既にその刃は朽ち果ててしまっていた。

俺の得物はアキラの討竜の剣ほどの業物ではない。

魔王の身に傷は付けられても、その代償に刀身が再起不能なほどに破壊されてしまっていた。

つまり俺に、戦う手段は残されていないという事だ。

「魔王討伐に尽力していたが…此度の騒動の元凶の一員というのならば話は別だ」

ジリジリと距離を詰めてくるライスト軍人達。

悔いはない。

本来ならばライストでのアキラとの一戦に敗北した時点で、こうなる運命だったのだ。

それが今まで先送りになっていただけに過ぎない。

どの道俺は然るべき裁きを受け、その後は投獄されるのか処刑されるのか。

何にしろ自業自得と言えるだろう。

< 101 / 107 >

この作品をシェア

pagetop