魔王に忠義を
成程、目的はセリーヌとガーディアンか。

となると上手くない。

ライスト王国内で仕掛ければすぐにガーディアンが動くだろう。

下手をすればセリーヌ大佐直々のお出ましとなる。

最悪火の玉と霜刃の二人を相手する事になるやもしれん。

今手を出すのは時期尚早という訳か…。

情報を聞きだし、俺は懐から金貨を一枚弾き出す。

宙を舞った金貨を。

「ありがたやありがたや」

両手でキャッチする老婆。

その時には既に、人の好い物乞いの口調に早変わりしていた。

…裏路地を出て、再び歩き出す。

さてどうしたものか。

できればナハトがライストを出国した所で仕掛けたい。

それまではナハトの動向だけを掴んでおき、時間を潰すとするか。

暗殺は根気が要る。

無闇やたらに凶刃を振り下ろせばいいというものではない。

闇に乗じて、人混みに乗じて。

そして時には正面から大胆に。

正々堂々、尋常に勝負を挑む以上に難易度の高い仕事と言えた。



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