魔王に忠義を
並みの相手ならば翻弄され、幻惑され、次第に疲れが見えてくる。

そこを仕留めるのが俺の常套戦術だった。

だというのにこの少年はいつまで経っても疲れを見せない。

考えてみれば当然か。

並外れた体力を誇る竜種にも競り負けないスタミナを持っているのだ。

この程度の攻防で弱る筈もない。

ならば。

俺は一旦アキラとの距離を取り、すかさずブレードを石畳の地面に当てる。

回転する刃が石畳を削る!

その削られた破片が礫となり、アキラに撒き散らされる!

思わず討竜の剣で礫を防ぐアキラ。

その機に乗じて。

「頂く」

俺は礫と共に火の玉に強襲した!

隙を見せないのならば作るまで。

こちらは元より悪のレッテルを貼られた秘密結社だ。

卑怯の汚いのと罵られた所で何の感情も起きない。

渾身の力を込めてブレードを振り下ろした俺は。

「!!?」

かつてない感触に思わず目を見開いた。

< 32 / 107 >

この作品をシェア

pagetop