魔王に忠義を
前のめりによろめくアキラの顔面に、俺は膝蹴りを放つ!

「くっ!」

咄嗟に剣の柄で蹴りを受け止めるものの、アキラの小柄では受けきれずに後方へと飛んだ。

力負けはするものの、俺にはファイアル人にはない器用さがある。

機械兵器を操るだけの技術もある。

ファイアルの力とドーラの技術。

それを併せ持っている事こそが俺の武器!

アキラを追って俺は突進。

両手で握ったブレードを連続で繰り出す!

獣のような唸り声を上げて襲い掛かるブレードを、アキラは討竜の剣でことごとく捌く。

あの大剣をこうも軽々と。

大した腕力だ。

或いは見た目以上にあの剣は軽量なのかもしれない。

そして刃の強度にも目を見張る。

こちらはアルマズ石の刃だというのに、竜種素材の剣とはこうも優れているのか…!

内心舌を巻きつつ、攻撃の手は緩めない。

突然刃の軌道を変え、上段と思えば下段、下段と思えば刺突、変幻自在の攻撃でアキラを翻弄する。

真っ直ぐな直情型の狩猟者には、いささか厄介な攻撃といえる筈だ。

相手の嫌う攻撃をする。

相手の能力を引き出させずに仕留める。

当然ではあるが、これが秘密結社の構成員の基本的な戦い方だった。

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