魔王に忠義を
「ま、そんな仕事で体も売ったりして、タンマリ頂いた報酬で魔法買ったりしたのよ。女の身で踊り子していると、危険な目に遭う事もあるんでね」

「そうか…」

外套を身につけ、俺は立ち上がる。

「助けてもらったのは…まぁ…礼を言っておこう」

一言告げて俺は歩き出し。

「ちょっとちょっと!」

アイシャは俺の外套の裾を鷲掴みにした。

「どこいくのよ!?まだガーディアンが貴方を探し回っているわよ!」

どうやらあの場を切り抜けてから、然程時間は経っていないらしい。

ならばここでもう少し身を隠しておいた方が得策か。

俺は仕方なくアイシャの隣に腰を下ろした。

「ねぇⅥ番」

アイシャが俺に擦り寄る。

「秘密結社をクビになったって言ってたわよね」

「ああ」

「これからどうするの?」

「…………」

実に返答に困る。

それ以前に。

「アイシャといったな…お前は俺が怖くないのか?」

「えー?何でー?」

またも彼女はコロコロと笑った。

「私は平民だもの。秘密結社に命を狙われる謂れはないわ。ましてや元・秘密結社の人なんかにね」

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