魔王に忠義を
「きついのをくれ」

一言だけ言って俺は視線を下げる。

店主は最初にグラスを置く。

そしてボトルから琥珀色の液体を注ぎ。

「あんたも拳銃目的か?」

店主がそんな事を言った。

「迷惑してるんだ。いつだったか、目つきの悪いアイスラ人が来てさ、この店の常連に拳銃をくれなんて言うんだ。あの後何があったのか、その常連死んじゃったらしくてさ…色々取調べされるわ、客足が遠のくわ、いい迷惑だよ」

「……」

グラスを傾けながら、俺は話を聞く。

成程、曰く付きの酒場か。

人死にが出るような店なら、俺には似合いと言えるかもしれない。

「心配するな」

一気にグラスを空けて、俺は代金をカウンターに置く。

「生憎と得物は飛び道具には頼らん主義でな…」

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