魔王に忠義を
本格的にどうやって逃げるか考えなければならない。

いっそもう一度アイシャの風の魔法でここから高飛びするかと思案していた時だった。

「…?」

何か周辺が騒々しくなってきた事に気づく。

恐らくは俺を探していたのであろうガーディアン、そして一般階級の軍人達も、慌ててライスト王国方面へと引き返していく。

警戒を解く?

馬鹿な。

犯人確保もできないまま警戒態勢を緩めるなど、任務に忠実といわれるガーディアンらしからぬ行動だ。

「あれ…なんか皆戻って行っちゃうよ?」

アイシャもこの行動には疑問を感じている。

考えられるのは、何か火急の事態が起きたという事。

それこそ秘密結社の構成員の暗殺未遂以上の大事が発生したという事。

聞き耳を立てると、辛うじて軍人達の会話が聞こえてくる。

「おい、そりゃ本当の話なのか?」

「ああ、間違いないらしい。ファイアル最南端で大規模な魔力反応が確認されたそうだ…カルト集団か、それとも地下組織か…どっちかわからんがな」

軍人の一人が歯噛みした。

「魔王の封印に手を出している奴がいるらしい…!」

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